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肘が曲がってしまう…その自主トレ、間違っていませんか?~痙性に悩むあなたへ届けたい、本当に必要なトレーニング~


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◆ 「肘が勝手に曲がる」ってどういうこと?

脳卒中の後、

  • 肘が常に曲がっている

  • リハビリで伸ばしてもらうと一時的にまっすぐになる

  • でも、起き上がるとまた曲がってしまう…

こうした「肘のつっぱり」は**“痙性(けいせい)”**と呼ばれる現象です。

「筋肉が硬くなった」と思われがちですが、実はもっと深い原因があります。


◆ 痙性の正体は「脳のコントロールミス」

痙性とは、脳が筋肉の反射を抑えられなくなっている状態です。

中でもよく問題になるのが「伸長反射(しんちょうはんしゃ)」という反応。これは、筋肉が急に伸ばされたときに反射的に縮もうとする働きのことです。

健康な状態なら、脳がこの反射をコントロールして必要な場面だけ反応します。でも、脳卒中などで**上位運動ニューロン(脳からの指令の通り道)**が壊れると…

筋肉が少し伸びただけで、勝手に縮もうとしてしまう!

つまり、肘が勝手に曲がる=脳が上腕二頭筋や上腕筋の反射を抑えられないこれが痙性のメカニズムなのです。


◆ 肘を「伸ばす」だけの練習でいいの?

痙性のある方によく見られるのが、

  • 肘をセラピストに伸ばしてもらう

  • 自分でも壁や重りを使って肘を伸ばそうとする

こうした練習です。

確かに一時的にはまっすぐになりますが、立ち上がる・動くとすぐまた肘が曲がる…

この理由は明確です。


💥 痙性は「筋肉が縮むこと」が原因ではない💥 痙性は「脳が筋肉を制御できない」ことが原因

だから、筋肉をただ伸ばすだけでは根本解決にならないのです。


◆ 本当に必要なのは「曲げる」練習

えっ?曲がってるのにさらに曲げるの!?…そう思った方もいるかもしれません。

でもここが、痙性へのアプローチの最大のポイントです。

🔑 筋肉を「脳が使える状態にする」ために、あえて使う!

つまり、自分の意思で**上腕二頭筋・上腕筋を曲げる動き(屈曲)**を練習し、脳に「この筋肉はコントロールできる!」と学習させていくのです。


◆ 自主トレーニングの例

① 座って肘を曲げるだけの簡単トレーニング

  • 麻痺側の肘を、自分の力でゆっくり曲げていく

  • 曲げきったら一度リラックス

  • これをゆっくり5~10回

ポイント:速く動かさない/途中で止めて感覚を意識する


② テーブルに手を置いて「肘でひく」練習

  • テーブルに麻痺側の手を置き、肘を曲げて手を近づけるように引く

  • 肘を使うことを意識しながら行う


③ 鏡を見ながら反対の手で誘導(ミラーセラピー)

  • 非麻痺側の手で麻痺側の肘を優しく支えて一緒に曲げる

  • 曲がる感覚を脳に伝える意識を持つ


◆ 痙性の筋肉を「使える筋肉」にする

痙性のある筋肉は、勝手に力が入る=暴走している状態です。それを制御するには、「使わない」のではなく、「正しく使う」ことが必要です。

  • 自分で動かす

  • 動かしながら感覚を入れる

  • 動かしたい強さ・速さでコントロールする

このような練習を通じて、脳と筋肉のつながりが再び育ち始めます。


◆ まとめ:伸ばすより、まず使おう!

よくある誤解

本当の対処法

肘が曲がるから、伸ばせばいい

曲がる筋肉(上腕二頭筋)を“使ってコントロール”する

痙性は筋肉の問題

痙性は“脳の制御の問題”

セラピストに伸ばしてもらう

自分の意思で動かす練習が根本解決

💬 最後にひとこと

「肘が曲がるから、伸ばそう」これは間違いではありません。でも、それだけでは足りません。

「自分の力で、曲げる動きを練習すること」これこそが、痙性を乗り越えるための第一歩です。

がんばる方向を少しだけ変えることで、きっと未来が変わります。焦らず、少しずつ、脳に「正しい動き」を届けていきましょう。

 
 
 

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