タイプ別診断とは
あなたの症状に合ったリハビリ、できていますか?
~脳卒中の後遺症を「タイプ別」に診断し、最適な回復プランを提案します~
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)後の後遺症は、人によってまったく異なります。
「手が動かない」「足がつまずく」「座っていられない」「言葉が出てこない」――
その原因や回復方法は一人ひとり違い、リハビリの“やり方”も変わってきます。
当施設では、脳卒中後の状態を【41の症状】に分類し、「タイプ別診断」を行うことで、
あなたにとって最も効果的なリハビリ内容をご提案します。

① 運動麻痺タイプ【手足が動かない・動かしにくい】
チェック例:
-
指が開かない・肘が伸ばせない
-
足首が動かない・立つときに足を引けない
原因: 脳から筋肉へ命令を送る「皮質脊髄路」がダメージを受け、運動指令が届かなくなった状態です。
リハビリのポイント:
-
マッサージでは改善しません。
-
電気刺激療法(EMS)+随意的な運動練習が鍵。
-
1つ1つの筋肉を「動かす練習」を根気よく反復します。
② 筋緊張タイプ【力が入りすぎる or 抜けすぎる】
サブタイプ:
-
亢進タイプ:動かすと硬い・肘が勝手に曲がる
-
低下タイプ:手足がダランと力が入らない・肩が外れる
原因:
-
亢進=皮質脊髄路の障害
-
低下=小脳・大脳基底核の障害
リハビリのポイント:
-
亢進:反対側の筋に電気刺激、ゆっくり反復運動
-
低下:全身運動と筋肉への電気刺激で緊張を高める
③ 感覚障害タイプ【触覚・温度・自分の手足の位置がわからない】
分類:
-
表在感覚:触っても温度や痛みが分からない
-
固有感覚:目を閉じると手足の位置が不明
-
異常感覚:しびれ・違和感が続く
-
身体図式:手をつねっても肩が痛い、手足の位置感覚が乱れる
リハビリのポイント:
-
表在感覚:視覚を使わず“触って感じる”練習
-
固有感覚:筋・関節を動かして“位置”を取り戻す
-
異常感覚:しびれの中の他の感覚に気づく訓練
-
身体図式:手と体の“感覚の地図”を再構築する全身運動
④ 失調タイプ【手が震える・動きがぎこちない】
チェック例:
-
手を伸ばすと震える(企図振戦)
-
力のコントロールができない
原因: 小脳や視床の障害によって、筋肉の“タイミング”や“組み合わせ”が乱れる
リハビリのポイント:
-
出力 → 組み合わせ → タイミングの順でアプローチ
-
筋トレ+EMS、意識しながらの緻密な運動練習
⑤ バランスタイプ【立てない・座れない・ふらつく】
チェック例:
-
一人で立っていられない
-
ゆっくり座れずドスンと落ちてしまう
原因: 支持基底面(床との接地)と重心のバランスが取れないため
リハビリのポイント:
-
三半規管を鍛える反復練習(寝返り、立ち座り)
-
体幹・殿筋・足部トレーニング
-
足首の柔軟性向上
⑥ 筋力低下タイプ【寝たきり・活動不足による体力の低下】
チェック例:
-
1日の歩行距離が200歩未満
-
腹筋ができない
リハビリのポイント:
-
万歩計を使って歩数管理
-
ベッド上からでも姿勢を変えることで活動を増やす
-
筋緊張のある人は指導のもとで慎重に
⑦ 関節可動域制限タイプ【関節が伸びない・硬い】
チェック例:
-
肘が伸びきらない
-
足首が曲がらない
原因: 筋肉のサルコメアが減少し、筋短縮が起こる
リハビリのポイント:
-
長時間ストレッチで筋肉を“伸ばす”
-
少し痛みを感じるくらいが効果的
-
トレーニング法を誤ると筋緊張が悪化する場合も
⑧ 嚥下障害タイプ【飲み込めない・むせる】
チェック例:
-
食べ物が口に残る
-
食事中によくむせる
リハビリのポイント:
-
噛む・飲み込む筋肉の強化(舌・咬筋など)
-
嚥下検査(VFなど)で原因の特定が必要
⑨ 失語症タイプ【話せない・聞き取れない】
分類:
-
運動失語:言いたいのに言葉が出ない(ブローカ野)
-
感覚失語:話は聞こえるが意味が分からない(ウェルニッケ野)
リハビリのポイント:
-
単語の意味理解や言葉の再構成トレーニング
-
表情や視線など非言語的な伝え方も活用
⑩ 構音障害タイプ【発音が不明瞭・顔の左右差あり】
チェック例:
-
ホッペがふくらまない
-
声がこもる、滑舌が悪い
リハビリのポイント:
-
舌や口周りの筋トレ(パタカラ発声など)
-
発声前の“喉周囲のリラクゼーション”も重要
⑪ 運動プログラム障害タイプ【“できるのにできない”状態】
チェック例:
-
手を伸ばせるのに、物を触ろうとするとできない
-
歩けるのに外出時だけうまくいかない
原因: 脳内の「運動の準備」がうまくいかない状態(特に被殻出血後に多い)
リハビリのポイント:
-
運動の“イメージ力”を高める
-
工程を簡略化し、段階的に動作を学ぶ
-
あえて違う環境で練習する
⑫ 高次脳機能障害タイプ【記憶・注意・認知の問題】
チェック例:
-
昨日の出来事を思い出せない
-
左側の話を聞き逃す
-
道具の使い方が分からない
リハビリのポイント:
-
専門検査で障害の種類を明確に
-
環境調整と周囲の理解が非常に重要
-
失行・失認などには“慣れた動作の反復”が効果的
自分に合った“回復の道すじ”を知ることが第一歩
脳卒中のリハビリにおいて、最も大切なのは「自分の状態を知ること」です。
私たちは41のチェックから、あなたの症状に合った「リハビリ戦略」を立て、
本気で“脳を変える”お手伝いをします。