力を入れて動かす練習を毎日続けたら良くなる?――答えはNO。その理由を脳と神経回路から徹底解説|脳プラス|共同運動と随意運動の違い
- ー しゅう
- 2 日前
- 読了時間: 4分

力を入れて動かす練習を毎日続けたら良くなる?
――答えはNO。その理由を脳と神経回路から徹底解説|脳プラス
脳梗塞や脳出血のあと、
「思い切り力を入れたら腕が動いた!」
「ぎゅっと力んだら足が出た!」
このような経験をして、
『このまま毎日頑張ればどんどん良くなるのでは?』
と期待される方はとても多いです。
実際、動かなかった手足が少しでも動くと、
希望が湧きますし、とても嬉しいものです。
しかし❗結論からお伝えします
力を入れて無理やり動かす練習を毎日続けても、
麻痺の根本改善にはつながらないことが多い。
むしろやり方によっては、
• 動きが固まる
• 変なクセがつく
• 手足が突っ張りやすくなる
• 分離した動きが出にくくなる
という マイナスの影響 が出ることすらあります。
この記事では、
なぜ「力んで動く練習」では改善しにくいのか を、
• 脳梗塞・脳出血後の脳の仕組み
• 神経回路の話
• リハビリで本当に大事な考え方
という視点から、
リハビリ専門施設 脳プラス が徹底的に解説します。
■ なぜ「力を入れると動く」のか?
脳梗塞や脳出血によって起こる運動麻痺は、
単に「筋肉が弱くなった」わけではありません。
🧠 本当の問題は脳の中
脳から手足へ命令を送る神経回路――
特に重要なのが 皮質脊髄路 というルートです。
この回路は、
• 指を1本ずつ動かす
• 足首を細かく調整する
• 力加減をコントロールする
• ゆっくり動かす
• 止める
といった 繊細な運動 を司っています。
脳梗塞・脳出血では、
この皮質脊髄路がダメージを受けやすくなります。
■ では、力むと動くのはなぜ?
強く力を入れたときに出てくるのは、
別の神経ルート
• 網様体脊髄路
• 前庭脊髄路
といった 脳幹系の経路 が関与していることが多いです。
これらは本来、
• 姿勢を保つ
• 体を固める
• 転ばないようにする
• 一気に力を出す
ための仕組みです。
👉 つまり
「力を入れて動く」=
精密な運動回路を使っているとは限らない。
全身を固めてまとめて出力する回路で、
たまたま手や足が動いていることが多いのです。
■ 毎日それを繰り返したら良くなるのか?
ここが一番大事なポイントです。
🧠 脳のルールはとてもシンプル
脳にはこんな性質があります。
よく使われた回路は強くなる。
これを「神経可塑性」といいます。
● 力んで出す練習ばかりすると…
• 体幹を固める
• 首・肩が一緒に緊張
• 息を止める
• 反対側の手も一緒に動く
こうしたパターンが毎日繰り返されると、
👉 その動き方が“正解”として脳に記憶されてしまいます。
結果、
• 共同運動が強くなる
• 分離が出にくい
• 細かい操作が難しい
• 突っ張りが増える
という状態になりやすいのです。
■ 「分離運動」とは何か?
麻痺改善でよく出てくる言葉が
分離運動 です。
✔ 分離運動とは
• 肩を動かさずに肘だけ動く
• 指1本だけ伸ばす
• 足首だけ上げる
• 膝と股関節を別々に使う
こうした 部分ごとにコントロールされた動き のことです。
これは皮質脊髄路が働いていないと難しい。
❌ 力んで出す動きは?
• 全部一緒に動く
• 速い
• 固い
• 勢い任せ
• 調整できない
👉 これは分離とは正反対です。
■ 「動いた」ことと「良くなった」ことは違う
とても大切なので、はっきり書きます。
🔴 動いた = 改善ではない
• どうやって動いたのか
• どれくらいの力で動いたのか
• 他の部位は固まっていないか
• 息を止めていないか
• ゆっくり制御できているか
ここが重要です。
🟢 改善に近い動きとは
• 小さい力で動く
• 力を抜ける
• ゆっくりできる
• 狙った所だけ動く
• 何度でも同じ質で出る
これこそが
麻痺回復につながる動き です。
■ 脳プラスが考える本当のリハビリ
私たち 脳プラス では、
「とにかく頑張って力を入れる」
というリハビリではなく、
✔ 脳回路を狙って作り直す
✔ 代償を抑える
✔ 小さな出力から誘導
✔ 正しい感覚入力
✔ 動きの質を整える
✔ 画像評価と臨床の統合
といった考え方を大切にしています。
脳梗塞・脳出血後のリハビリで本当に必要なのは、
「出力を上げる前に、回路を整えること」 です。
■ まとめ|力んで動かす練習を続けると…
最後に整理します。
✅ 力を入れて動くのは別ルートの可能性が高い
✅ 皮質脊髄路の練習になっていない
✅ 繰り返すとクセが固定される
✅ 分離運動は出にくくなる
✅ 麻痺の根本改善にはつながらない
🔵 だからこそ…
脳梗塞・脳出血後のリハビリでは、
「どれだけ力を出したか」ではなく、「どうやって動いたか」
ここが何より大切なのです。
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