パーキンソン病と診断されたご家族に知っていて欲しいこと
- ー しゅう
- 3 日前
- 読了時間: 5分

― まず読んでいただきたい大切なお話 ―
「最近、歩きにくくなった」「歩幅が小さくなった」
「動きが遅くなったと言われる」「やる気がないように見えると言われる」
このような変化はありませんか?
実はこれらは、パーキンソン病でよく見られる症状です。
ですが最初に、どうしてもお伝えしたい大切なことがあります。
それは、“やる気がないわけではない”ということです。
多くの場合、気持ちはしっかりあります。ただ、体が思うように反応できないだけなのです。
まずはこの病気の仕組みを、一緒に理解していきましょう。
・パーキンソン病とはどんな病気?
パーキンソン病は、脳の中にある
「黒質(こくしつ)」という場所の細胞が減少し、
そこから分泌されるドーパミンという物質が少なくなることで起こります。
ドーパミンには次のような重要な役割があります。
✔ 動き始めるきっかけを作る
✔ 動作をスムーズにする
✔ 表情や声を出しやすくする
✔ 意欲や感情を外に出しやすくする
そのためドーパミンが減ると、次のような症状が現れます。
歩き出しにくい
歩幅が小さくなる
身体がこわばる
動作がゆっくりになる(無動・寡動)
表情が乏しくなる
声が小さくなる
手足が震える(振戦)
これらはすべて、脳の働きの変化によって起こる症状です。
決して性格や気持ちの問題ではありません。
・脳の中にある「関所」の話
脳には大脳基底核(だいのうきていかく)という場所があります。
ここは例えるなら、「必要な動きだけを通す関所」のような場所です。
もしこの関所がなければ、
私たちは思いついた行動をすべてしてしまい、
落ち着いて生活することが難しくなるでしょう。
この仕組みのおかげで私たちは、
不要な動きを抑える
状況に合った行動を選ぶ
感情をコントロールする
ことができます。
例えば、ダイエット中にケーキを我慢できるのも、この働きがあるからです。
・ドーパミンは「ブレーキを外す役割」
私たちの脳には、実は常に“ブレーキ”がかかっています。
不要な動きまで出てしまわないようにするためです。
この関所を通って、「動こう」「話そう」「反応しよう」
といった行動を外に出すために必要なのがドーパミンです。
ドーパミンは例えるなら、
「動いていいですよ」「その行動は通って大丈夫ですよ」
と許可を出し、かかっているブレーキを外してくれる存在です。
ドーパミンが減ると何が起こるのか?
ドーパミンが十分にあると、
必要な動きはスムーズに外へ出ていきます。
しかしドーパミンが減ると、
本来なら通れるはずの動きまで関所で止められてしまいます。
例えば――
足を出そうと思っているのに、最初の一歩が出ない
返事をしたいのに、声が出るまでに時間がかかる
すぐ動きたいのに、体が固まったように感じる
やる気はあるのに、行動に移せない
このとき、体の中では「動こう」という指令はしっかり出ています。
決してサボっているわけでも、頑張っていないわけでもありません。
ただ、関所でブレーキが外れないために、
動きが外に出てこないだけなのです。
・とても重要な理解
「できない」のではなく、「止められている」
パーキンソン病を理解するうえで、最も大切なポイントです。
やる気がないわけではありません
興味がないわけでもありません
怠けているわけでもありません
本当は動きたい。本当は反応したい。
それでも動けないのは、脳のブレーキが強くかかってしまう病気だからです。
これは例えるなら、
アクセルを踏んでいるのに、サイドブレーキが下りない車
エンジンはしっかり動いています。前に進もうとしています。
しかしブレーキが外れないため、進めないのです。
・見えにくい「内側の努力」
もう一つ知っておいていただきたいことがあります。
パーキンソン病の方は、
私たちが想像する以上に大きなエネルギーを使って動いています。
健康な人なら無意識にできる動作でも、
「よし、立とう」「一歩出そう」「声を出そう」
と強く意識しなければ動けないことがあります。
つまり日常生活そのものが、すでに努力の連続なのです。
周囲からはゆっくりに見えても、その内側では懸命な働きが起こっています。
・自尊心を守るために
「やる気がなさそう」「反応が遅い」「何もしたくないのでは?」
このように思われてしまうことは、ご本人にとって非常につらいものです。
やりたいのにできない。これは想像以上に苦しい状態です。
だからこそパーキンソン病では、
“気持ちは保たれている”
という理解がとても重要になります。
動きだけを見て判断しないこと。それが安心につながります。
・リハビリで本当に大切なこと
では、どうすれば関所を通りやすくなるのでしょうか?
実は――
最も効果的で、最も重要なのが「運動」です。
大脳基底核には、運動に特化した「運動ループ」という神経回路があります。
つまり運動すること自体が、「関所を通る練習」になるのです。
ここで重要なのは、
マッサージだけでは関所は通りません。
自分の力で動こうとする運動こそが、脳を働かせます。
専門的なリハビリでは、
どの動きなら出やすいのか
どんなきっかけがあれば動けるのか
どうすれば動作がスムーズになるのか
を一緒に探していきます。
この「自発的に動ける状態」を作ることが、
本当の意味でのリハビリです。
・最後にお伝えしたいこと
行動や外見だけで判断せず、ぜひこの病気の仕組みを知ってください。
パーキンソン病があっても、できることはたくさんあります。
適切な運動と理解ある関わりによって、
生活の質を高めることは十分に可能です。
当院では、
病気の理解を深めるサポート
関所を通りやすくする運動の提案
日常生活を楽にするためのリハビリ



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