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【装具をつけているのに足が引っかかる…実は“股関節”が原因かもしれません】

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◆ 装具をつけてもつまずくのはなぜ?

「装具をつけて歩いているのに、足が引っかかってしまう…」そんなお悩みをよく耳にします。

脳卒中の後遺症で足首がうまく持ち上がらなくなった場合、装具(AFO)はとても頼もしいサポートになります。歩行中に足首の背屈(つま先を上げる動き)を補ってくれるため、多くの方が「つまずきが減った」「安定して歩けるようになった」と実感されています。

しかし中には、装具を正しくつけているのに足が引っかかるという方がいます。装具がカバーしているのは「足首」なのに、なぜつまずいてしまうのか?その原因は、実は股関節と骨盤の動きにあるのです。

◆ 見た目では曲がっているのに、実は動いていない「股関節屈曲」

多くの方が「股関節はちゃんと曲がっている」と感じておられます。しかし実際によく観察すると、動いているのは股関節そのものではなく、骨盤が後ろに傾いている(後傾)だけということが少なくありません。

たとえば、座った状態で膝を胸に近づけようとしたとき、背中が丸くなって骨盤が後ろに倒れてしまうと、見た目は「太ももが上がっている」ように見えても、実際には股関節がほとんど動いていないのです。

この「骨盤後傾のまま股関節が動かない」状態で歩こうとすると、脚を前に出すときに太ももが上がらず、足先が地面に引っかかってしまいます。つまり、**足が引っかかる根本の原因は“股関節の屈曲不足”**なのです。

◆ 装具は「足首の代わり」にはなるが、「股関節の代わり」にはならない

装具をつけている方の多くは、足首の背屈制限をカバーできています。本来なら足は引っかからないはずですが、それでも引っかかる場合は、“足首より上の問題”が残っているということです。

歩行動作を分解すると、1️⃣ 股関節の屈曲で脚を前に出す2️⃣ 骨盤を少し前に傾けて重心を移動させる3️⃣ 足首の背屈でつま先を上げて地面をクリアするという流れで進みます。

装具は③を助けてくれますが、①と②までは助けてくれません。そのため、股関節が十分に屈曲せず、骨盤も後傾したままだと、装具をつけていても足先は上がらず、結果的に「引っかかる」という現象が起こります。

また、歩くときに足が外を向いてしまう(外旋)方も多く見られます。これは股関節がしっかり屈曲できないことで、脚をまっすぐ前に出せず、外側へ逃がすような代償動作をしているためです。根本はやはり、股関節と骨盤の協調性にあります。

◆ リハビリで見直すべきは「股関節の屈曲」と「骨盤の位置」

リハビリの現場では、「立つ」「伸ばす」といった“伸展”に注目が集まりがちです。しかし、歩行の第一歩を支えるのは「股関節の屈曲」。股関節が前にしっかり動くようになることで、足がスッと前に出て、つまずきが減り、歩行の安定感が大きく変わります。

もし装具をつけても歩きにくさが残る方は、ぜひ一度「骨盤の位置」と「股関節の動き方」を専門家に見てもらってください。リハビリの焦点が少し変わるだけで、歩きの感覚が大きく変わることがあります。

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