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【脳卒中リハビリ】立ち上がりで“両足”に体重をのせる理由とは?



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◆ 多くの方が、無意識に“片足立ち”になっている

脳卒中後のリハビリでとても大切な「立ち上がり」。

でも実際は、多くの方がこんな姿になっています。

「非麻痺側(元気な方の足)にばかり体重をかけて立っている」

これは一見自然なことのように思えますが、実は回復を妨げる原因にもなっているのです。


◆ 片足だけに頼る人の“よくある姿勢”とは?

非麻痺側だけを使う癖がある人は、普段からこのような姿勢になりやすいです。

  • ベッドで寝るとき、麻痺側が後ろに引けている

  • 椅子に座っているときも、片側に体が傾いている

  • 歩くときは、体が外側に流れる

これは無意識に、「使える側」に頼ってしまうために起こります。


◆ アンバランスが生み出す悪循環

このようなアンバランスな立ち方・姿勢は、以下のような悪循環を引き起こします。


❌ 1. 麻痺側を使わない → さらに動かなくなる

→ 動かさない部分は筋力も感覚もどんどん弱くなります。


❌ 2. 骨盤や体幹がゆがむ → 姿勢が不安定になる

→ 支えがないため、無理なバランスで動こうとしてしまいます。


❌ 3. 脳のバランス(半球間の抑制)が崩れる

→ 脳は左右のバランスをとって動きをコントロールしています。非麻痺側だけを使い続けると、非麻痺側の脳が優位になり、麻痺側の脳の働きを抑え込んでしまう(半球間抑制)ことがわかっています。この状態では、いくら動かそうとしても麻痺側の脳が働きにくくなり、リハビリの効果が出にくくなってしまいます。


❌ 4. 身体図式(ボディイメージ)が崩れる

→ 脳は「どこに足があるか」「どう動いているか」を感じながら体を動かします。しかし、片側ばかり使っていると、麻痺側の存在を脳が忘れてしまうのです。結果として「足がある感じがしない」「どう動かせばいいか分からない」という状態に陥ってしまいます。


◆ 両足で立つことは、姿勢だけでなく“脳”のリハビリ

両足に均等に体重をかけて立ち上がることは、単なる筋トレや動作練習ではありません。それは、脳のバランスを整え、麻痺側の存在を再び認識させるためのリハビリです。


◆ 練習方法:両足に“のる”感覚を育てるには?

以下の練習で「両足で体を支える感覚」を身につけましょう。


▶︎ 練習① 座ったままのお辞儀練習

  1. 椅子に座り、両足裏をしっかり床につける

  2. ゆっくりと上半身を前にお辞儀するように傾ける

  3. このとき、両足に均等に体重がのっているかを意識

→ ポイント:お尻が浮かないように。体重の“流れ”を両足で感じましょう。


▶︎ 練習② 座ったままの屈伸練習(荷重の感じ方)

  1. 椅子に浅く座り、両足で床を軽く踏み込むように力を入れる

  2. このとき、左右どちらに体重が流れているかを感じる

  3. 均等に足裏に力が入っていればOK

→ ポイント:踏み込みの感覚を「右だけ」「左だけ」にならないように。


▶︎ 練習③ 実際の立ち上がり練習

  1. 椅子に浅く座る

  2. 両足を床につけ、両手を太ももに置く

  3. 上体をやや前に傾けながら、両足に均等に力を入れて立ち上がる


→ 最初は介助があってもOK。意識を「両足にのせる」ことに集中しましょう。


◆ まとめ:バランスを取り戻すことは、脳を回復させること

  • ✅ 立ち上がりで片足に頼ると、全身のバランスと姿勢が崩れる

  • ✅ それが**脳の働きのアンバランス(半球間抑制)**や、**体の感覚の消失(身体図式の崩れ)**に繋がってしまう

  • ✅ 両足で立つことは、麻痺側の脳を活性化させ、感覚を取り戻す第一歩

  • ✅ 正しい体重の乗せ方を“感じる”ことで、脳と体をつなぎ直すことができる


🔍 本記事は「脳PLUS(脳梗塞・脳出血リハビリ情報)」が監修

どんな動作も、正しい立ち上がりから。「両足にのること」は、体のバランスと脳の回復を育てる土台です。

今の立ち方、片方だけに頼っていませんか?ぜひ、今日から「両足でのる意識」を始めてみてください。

 
 
 

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