【脳卒中リハビリ】立ち上がりで“両足”に体重をのせる理由とは?
- ー しゅう
- 5月20日
- 読了時間: 4分

◆ 多くの方が、無意識に“片足立ち”になっている
脳卒中後のリハビリでとても大切な「立ち上がり」。
でも実際は、多くの方がこんな姿になっています。
「非麻痺側(元気な方の足)にばかり体重をかけて立っている」
これは一見自然なことのように思えますが、実は回復を妨げる原因にもなっているのです。
◆ 片足だけに頼る人の“よくある姿勢”とは?
非麻痺側だけを使う癖がある人は、普段からこのような姿勢になりやすいです。
ベッドで寝るとき、麻痺側が後ろに引けている
椅子に座っているときも、片側に体が傾いている
歩くときは、体が外側に流れる
これは無意識に、「使える側」に頼ってしまうために起こります。
◆ アンバランスが生み出す悪循環
このようなアンバランスな立ち方・姿勢は、以下のような悪循環を引き起こします。
❌ 1. 麻痺側を使わない → さらに動かなくなる
→ 動かさない部分は筋力も感覚もどんどん弱くなります。
❌ 2. 骨盤や体幹がゆがむ → 姿勢が不安定になる
→ 支えがないため、無理なバランスで動こうとしてしまいます。
❌ 3. 脳のバランス(半球間の抑制)が崩れる
→ 脳は左右のバランスをとって動きをコントロールしています。非麻痺側だけを使い続けると、非麻痺側の脳が優位になり、麻痺側の脳の働きを抑え込んでしまう(半球間抑制)ことがわかっています。この状態では、いくら動かそうとしても麻痺側の脳が働きにくくなり、リハビリの効果が出にくくなってしまいます。
❌ 4. 身体図式(ボディイメージ)が崩れる
→ 脳は「どこに足があるか」「どう動いているか」を感じながら体を動かします。しかし、片側ばかり使っていると、麻痺側の存在を脳が忘れてしまうのです。結果として「足がある感じがしない」「どう動かせばいいか分からない」という状態に陥ってしまいます。
◆ 両足で立つことは、姿勢だけでなく“脳”のリハビリ
両足に均等に体重をかけて立ち上がることは、単なる筋トレや動作練習ではありません。それは、脳のバランスを整え、麻痺側の存在を再び認識させるためのリハビリです。
◆ 練習方法:両足に“のる”感覚を育てるには?
以下の練習で「両足で体を支える感覚」を身につけましょう。
▶︎ 練習① 座ったままのお辞儀練習
椅子に座り、両足裏をしっかり床につける
ゆっくりと上半身を前にお辞儀するように傾ける
このとき、両足に均等に体重がのっているかを意識
→ ポイント:お尻が浮かないように。体重の“流れ”を両足で感じましょう。
▶︎ 練習② 座ったままの屈伸練習(荷重の感じ方)
椅子に浅く座り、両足で床を軽く踏み込むように力を入れる
このとき、左右どちらに体重が流れているかを感じる
均等に足裏に力が入っていればOK
→ ポイント:踏み込みの感覚を「右だけ」「左だけ」にならないように。
▶︎ 練習③ 実際の立ち上がり練習
椅子に浅く座る
両足を床につけ、両手を太ももに置く
上体をやや前に傾けながら、両足に均等に力を入れて立ち上がる
→ 最初は介助があってもOK。意識を「両足にのせる」ことに集中しましょう。
◆ まとめ:バランスを取り戻すことは、脳を回復させること
✅ 立ち上がりで片足に頼ると、全身のバランスと姿勢が崩れる
✅ それが**脳の働きのアンバランス(半球間抑制)**や、**体の感覚の消失(身体図式の崩れ)**に繋がってしまう
✅ 両足で立つことは、麻痺側の脳を活性化させ、感覚を取り戻す第一歩
✅ 正しい体重の乗せ方を“感じる”ことで、脳と体をつなぎ直すことができる
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