【脳卒中リハビリ】“つま先が下がる原因”は背屈筋じゃない!?実は「底屈筋の暴走」が問題なんです
- ー しゅう
- 1 日前
- 読了時間: 4分

◆ 尖足(せんそく)ってなに?どうなるの?
「尖足(せんそく)」とは、足首が常につま先立ちのように下がったままの状態をいいます。脳卒中の後に多く見られ、歩きにくさや転倒の原因になります。
◆【具体例】こんな困りごと、ありませんか?
✅ 歩くとつま先が床に引っかかって、つまずく
✅ 足の裏が全部つかず、つま先だけで歩いている感じがする
✅ リハビリで歩こうとしても、かかとが先につけない
✅ 靴のつま先がすぐにすれてしまう
これらは、「尖足」によって足首の動きが妨げられているサインかもしれません。
◆ 「足が上がらない=前脛骨筋が弱い」とは限らない!
つま先が下がると、「背屈筋(足首を上に上げる筋肉)が弱ってるのでは?」と思われがちです。
でも、実はこれ、正しくない理解なんです。
◆ 本当の原因は「ふくらはぎの筋肉が勝手に縮んでしまう」こと!
つま先を下に引っぱってしまう主な筋肉は、腓腹筋・ヒラメ筋(ふくらはぎ)=**足を下に向ける「底屈筋」**です。
脳卒中のあと、脳がこの筋肉の“ブレーキ”をかけられなくなってしまうと、ふくらはぎの筋肉が勝手にキュッと縮んでしまう状態になります。
これが、「尖足」の正体です。
◆ 【専門的に言うと…】“伸長反射”が抑えられていない!
脳卒中では、「伸長反射」と呼ばれる反応が過敏になります。
▶︎ 伸長反射とは?
筋肉が引き伸ばされると、反射的に「縮まなきゃ!」と反応する現象です。本来は、脳がこれを必要なときだけ抑制してくれています。
でも、脳卒中でこの制御が失われると、
✅ 足を動かそうとしただけで、ふくらはぎが勝手に縮む
✅ 歩こうとするたびに、つま先が下がる
などの**“異常な筋収縮(=痙性)”**が起こってしまいます。
◆ 解決のカギは「ふくらはぎ(底屈筋)を脳でコントロールすること」
つま先が上がらないとき、多くのリハビリでは:
「前脛骨筋(足首を上げる筋肉)を鍛えましょう!」
となりがちですが……
実はそれだけでは逆効果になることもあります。
なぜなら?
❌ 本当の問題は「足を上げられない」ことではなく、
✅ 「勝手に下げる筋肉が縮んでしまう」から!
つまり、
ふくらはぎ(底屈筋)の異常な反射を抑える
脳が正しく筋肉をコントロールする力を再教育する
この2つが重要なのです。
◆ 実際のリハビリ:背屈よりも「底屈」の練習を!
✅ 1. ゆっくり底屈させる練習(急激な動きはNG)
→ つま先を「ギュッ」ではなく「スーッと」ゆっくり下げる
→ 脳に「これが正常な動き」と教えていく
✅ 2. 底屈筋に“良い緊張”を与える練習
→ ボールをゆっくり踏む→ 自分の力で、狙った方向に押す
✅ 3. 鏡や動画で“意識フィードバック”
→ 「いま自分がふくらはぎを使ってる」と確認しながら動かす
→ 視覚・感覚を連動させて、脳で再学習!
◆ ボトックス治療を併用することも◎(ただし注意)
底屈筋の痙性がとても強く、自分では動かしづらい場合は、ボトックス治療によって一時的に緊張をやわらげることが可能です。
ただし注意!
どの筋肉に打つかによっては、「動かす力」も一時的に失われます
リハビリとの連携がとても重要です
リハビリの専門家と相談しながら、随意運動(自分の意思での動き)を妨げない範囲での使用が理想です。
◆ まとめ:尖足は「筋肉が固い」だけじゃない!
❌ よくある誤解 | ✅ 本当の原因 |
背屈筋が弱っている | 脳が底屈筋の反射を抑えられていない |
ストレッチで筋肉を伸ばせば良くなる | 脳が筋肉をどう使うかを“再教育”する必要がある |
つま先が上がらないから、上げる練習をすればいい | まずは“下げる筋肉”のコントロールから始める |
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